赤滝鉱泉

赤滝鉱泉 宿泊記

2023年 6月 訪問

栃木県矢板市の山懐に有る秘湯、赤滝鉱泉さんへ宿泊いたしました。

駐車場のすぐ近くまで、矢板から塩原へ抜ける八方道路で行けるので快適です。小滝鉱泉へと向かうのと同じ脇道へそれるとすぐに駐車場に到着。普通車はここまで。この先は急な未舗装のつづら折れの下りなので、それなりの車でないと無理です。
この坂を下り切ると、お待ちかねの時間旅行の始まり。さあ行きましょう。

駐車場から先は、急な砂利道なので要注意。4輪駆動車でないといけません。

山の斜面と沢の間の僅かな平地に、その宿は建っていました。訪れた6月は、梅雨の雨に濡れた新緑のみが視界に入って来ます。

お世話になります。

おとないを入れると、女将さんが留守の為、先代の大女将が杖を突きながら部屋へ案内してくれました。時間がゆっくり流れています。

玄関上には、ご常連が日光の偉いお坊さんに書いていただいたという看板が。

今回は1階の奥角へ部屋を用意して戴きました。窓を開けると中川の沢音が心地よく響き、全くの無風でしたので絵の様な木々の緑が視界一杯に広がります。

廊下の角から外を眺められる最高の場所です。

江戸時代に建てられたという建物は使い込まれています。以前は湯治宿として自炊客が多く訪れたのでしょう。共同の炊事場跡には、コイン式のガス台が残っていました。

湯治客の自炊場だったのでしょう。コイン式のガス台が残っています。

さあて、部屋へ落ち着いたらお風呂に入りましょうか。こちらのお風呂は冷鉱泉の為、薪で沸かしています。お風呂場には薪を焚いた香りが漂い、何故か温泉よりも湯気が多く立ち上っている気がします。私の家も昔はこのような薪で沸かす風呂でした。このタイプはお湯の表面がとても熱くなるので、よくかき混ぜてから入りましょう。

含鉄泉。じんわりと体にしみてゆきます。

ああ!、いいお湯ですね。薄い茶褐色のお湯です。源泉のバルブを開けて少し味わうと、酸味、鉄味、えぐみ などが混じった深い味わいです。

温泉成分分析書を拝見すると泉質は、酸性含鉄(Ⅰ・Ⅱ)単純冷鉱泉(低張性酸性冷鉱泉)とのことです。含鉄泉は中々数が少なく、希少な泉質なのです。お風呂は夜8時45分までは入れます。

庭隅には祠が。

お湯から上がって外を眺めては、ごろりと横になったりして過ごします。何もしない贅沢。

時間が止まっています。

夕方6時になった頃、女将さんが夕ご飯を運んできてくれました。

夕ご飯。

特別手の込んだお料理ではありませんが、暮れ行く山懐の景色と合わせていただくと、どんな高級宿の食事よりも最高のご馳走ですね。ゆっくりと頂きました。

暮れ行く山里の木々を眺めながら夕ご飯を頂きました。

朝、目を覚まして障子を開けると、新しいお茶道具が届いていました。梅干しが添えてあり、子供の頃お爺さんたちと飲んだお茶を思い出しました。お年寄りは酸っぱい梅干しを舐めながらお茶をすすり、小さい私などは酸っぱすぎるので砂糖を付けてかじっていた記憶が有ります。ああ、思えば私も、もうあの頃のお爺さんと同じ年代なのですね。そんなことを思い浮かべながら、ゆっくりとお茶を頂きました。

翌朝、目覚めると新しいお茶道具が届いていました。
持ってきたタオルが赤くなりました。

朝の新しい山の空気を堪能し、7時からお風呂に入れるので早速頂きに行きましょうか。
気のせいか、朝の方が湯気の出方が多いですね。又、鉄分が酸化していない為なのか、お湯の色が少し薄い気がします。昨日から数回お風呂に入ったら、持参したたタオルがうっすらと赤くなりました。

朝ごはん。

朝ごはんもしっかりとしたもので、おなかいっぱいです。

あっという間の1泊でした。帰りがけには入口の濡れ縁で女将さんとしばらく話をさせて頂き、次回も伺うことを約束して帰路に着きました。

訪問日 : 2023年 6月

スタイル : 1泊2日 夕朝食2食付き

経費 : 7700円/人 消費税込み・入湯税別 1人で訪問

泉質 : 酸性含鉄(Ⅰ・Ⅱ)単純冷鉱泉(低張性酸性冷鉱泉)

湯使い : 加温 (薪で沸かしています)

関東甲信越

Posted by norari