温泉法とはなんですか?
温泉法とは?
私たちがいつもいい気持ちにさせて頂いている温泉について、意外と知っているようで知らないものですね。
「〇〇温泉に行けば○○泉に入れる」だけで良いのでしょうか?、温泉とは何なのか?、自宅のお風呂と何が違うのか?、ちょっと調べてみましょう。
ちょっと難しいですが、法律が出てきます。その名も温泉法で、温泉の定義が記されています。
温泉法は昭和23年(1948年)に施行されて、その後何度か改定がされ現在に至ります。
以下、温泉法のさわりの条文です。硬い文章ですがお付き合いくださいね。
(目的)
第一条
この法律は、温泉を保護し、温泉の採取等に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害を防止し、及び温泉の利用の適正を図り、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条
この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。
上記の別表の条件とは下記の通りです。
1. 温度(温泉源から採取されるときの温度とする。)摂氏25℃以上。
2. 物質(左に掲げるもののうち、いずれか1つ)
物質名 | 含有量(一キログラム中) |
溶存物質(ガス性のものを除く。) | 総量1,000ミリグラム以上 |
遊離炭酸(CO₂) | 250ミリグラム以上 |
リチウムイオン(Li⁺) | 1ミリグラム以上 |
ストロンチウムイオン(Sr²⁺) | 10ミリグラム以上 |
バリウムイオン(Ba²⁺) | 5ミリグラム以上 |
フエロ又はフエリイオン(Fe²⁺,Fe³⁺) | 10ミリグラム以上 |
第一マンガンイオン(Mn²⁺) | 10ミリグラム以上 |
水素イオン(H⁺) | 1ミリグラム以上 |
臭素イオン(Br⁻) | 5ミリグラム以上 |
沃素イオン(I⁻) | 1ミリグラム以上 |
ふつ素イオン(F⁻) | 2ミリグラム以上 |
ヒドロひ酸イオン(HAsO₄²⁻) | 1.3ミリグラム以上 |
メタ亜ひ酸(HAsO₂) | 1ミリグラム以上 |
総硫黄(S)〔HS⁻+S₂O₃²⁻+H₂Sに対応するもの〕 | 1ミリグラム以上 |
メタほう酸(HBO₂) | 5ミリグラム以上 |
メタけい酸(H₂SiO₃ ) | 50ミリグラム以上 |
重炭酸そうだ(NaHCO₃ ) | 340ミリグラム以上 |
ラドン(Rn) | 20(百億分の1キユリー単位)以上 ラヂウム塩(Raとして)1億分の1ミリグラム以上 |
温泉とは?
難しい言葉が並びましたが、単純に成分か温度のどちらかが規定に達していれば、法律の上では温泉です。しかし、○○泉などと泉質名で呼ぶことはできません。
温度が低くても、何かしらの成分が基準値以上あれば温泉。
成分がごく少なくても、温度が25℃以上あれば温泉。
なのです。なんかちょっと普段入っている温泉のイメージとは違いますね。
ここでちょっと余談になるのですが、水蒸気その他のガスも温泉なのですが、気体には入浴できないので、噴出するガス成分に水を噴霧して液体化させてつくる温泉の事を「造成温泉 又は 明礬泉」などと言います。箱根大涌谷などが特に有名ですね。
海水は温泉ではありません。地中からゆう出する温水でなくてはいけないのです。しかし成分は塩化物泉以上かもしれません。
療養泉とは?
さて、法律上での温泉の定義とは別に、【療養泉】というものがあります。皆さんが温泉についてよく耳にする、泉質名や適応症などが認められるには、療養泉でなくてはなりません。
療養泉の定義は、法律(温泉法)ではなく、環境省自然保護局長通知による「鉱泉分析法指針」の中に「鉱泉のうち、特に治療の目的に供しうるもの」と明記されていて、こちらに皆さんが良く目にする〇〇泉などと呼ばれる泉質名が定義されています。
ちょっとややこしくなってきたので、今回はこれまでにて、別の機会に療養泉について書きますね。
(温泉ソムリエテキストを参考にしています。)
(環境省のサイトより引用しています。)