硫黄泉
硫黄泉
源泉内に含まれる溶存物質うち、硫化水素イオン、チオ硫酸イオン、遊離硫化水素の合計(総硫黄)が2mg/kg以上あれば【硫黄泉】です。(厳密には係数が有ります。(硫化水素イオン×0.970)+(チオ硫酸イオン×0.572)+(遊離硫化水素×0.941)の合計で2mg/kg以上です。)
硫黄泉は2種類の型があり、遊離硫化水素分の少ない【硫黄型】と、遊離硫化水素が主成分の【硫化水素型】に分かれます。「モル」という単位で計算した値を比較して、【遊離硫化水素>硫化水素イオン+チオ硫酸イオン】の形が【硫化水素型】です。
硫化水素ガスは中毒を起こす場合が有るので、浴室の換気を良くしなくてはいけないのですが、「痰の湯」とも呼ばれるように、このガスを吸引すると痰の切れが良くなるので慢性気管支拡張症等に、又、炭酸ガスと同様に、抹消毛細血管を拡張させるので、動脈硬化症やしもやけ、頸肩椀症候群等にも良いです。
心臓の冠状動脈、脳動脈も拡張させるので、心臓疾患にも良いとされ、又、硫黄泉は解毒作用がある為、金属中毒、薬物中毒にも利用され、慢性皮膚病、慢性関節疾患、慢性関節リウマチ等にも良いとされます。
さらに、皮膚の角質を軟化溶解するので、角化症、慢性湿疹、苔癬(たいせん)、慢性膿皮症等の皮膚病のほか、寄生虫の疥癬(かいせん)にも効果があります。
ただし、硫黄泉は、浴用、飲用とも、身体に強い作用が起きますので、効能が高い分、「湯あたり」がしやすい温泉でもあります。病弱者、高齢者、皮膚の弱い人は注意が必要です。
俗に「卵の腐ったようなニオイ」と称される、硫化水素ガスは金属を酸化して黒く変色させます。お風呂場の蛇口などが黒くなっている場合が多いのはこのためです。その香りから、最も温泉らしい温泉の一つと感じるのですが、外国の方は意外と嫌う人もいるようです。
メラニンを分解するので、三大【美肌の湯】の一つです。
【硫黄型】 硫化水素イオン、チオ硫酸イオンが主成分の場合、エメラルドグリーンになりやすいです。
【硫化水素型】 遊離硫化水素が主成分の場合、乳白色になりやすいです。又、硫化水素型には、抹消神経障害(高血圧症、動脈硬化症)が適応症に加わります。
硫黄泉はこんなお湯です
【生活習慣病の湯】
メタボリックシンドローム、動脈硬化症、高血糖、高血圧などに良いです。
【痰の湯】
硫化水素ガスは痰の切れをよくし、慢性気管支拡張症などに効果あり。
【美肌の湯】
シミ予防、シミ抜き、メラニンを分解します。
【浴用の泉質別適応症】
アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症、(硫化水素型については、抹消循環障害を加える)
【飲用の泉質別適応症】
耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症
【主な温泉地】
登別温泉(北海道)、鶴の湯温泉(秋田県)、いわき湯本温泉(福島県)、万座温泉(群馬県)、野沢温泉(長野県)他。
(温泉ソムリエテキストを参考にしています。)