美人の湯

美人の湯

よく温泉の話のなかで、「美人の湯と呼ばるお湯がありますね。温泉に入るだけで美人になれるなんて素敵なことがあるのでしょうか。少し調べてみましょう。

そもそも、温泉分析書に、【この温泉は美人の湯です】などの表示は存在しません。各泉質が肌に与える効果をよく考えて行くとだんだんと美人の湯がわかってきます。美人の湯とは美肌の湯なのですね。

一般的に美肌の湯と呼ばれる温泉は、【炭酸水素塩泉】【硫酸塩泉】【硫黄泉】が3大美肌の湯と呼ばれ、それから【アルカリ性単純温泉】(液性pH7.5以上)などもあげられます。

それぞれの温泉の性質を見てみましょう。

炭酸水素塩泉

特に美肌の湯とされるのは、【ナトリウムー炭酸水素塩泉】のお湯です。以前は【重曹泉】と呼ばれ、重曹成分の作用で皮膚の表面を軟化させ、脂肪や分泌物を柔らかくして洗い落とすため、石鹸で洗ったのと同じような作用が有ります。そこで、きれいになった皮膚から水分がたくさん蒸発して、気化作用により体温が下るので清涼感を感じます。【清涼の湯、冷えの湯】などと呼ばれます。
お風呂上りは皮膚がツルツル滑らかになるので、典型的な【美人の湯】ですね。しかし、気を付けることは、お風呂上りは肌が乾燥しやすいので、なるべく早く保湿剤を塗ったほうが良いでしょう。(10分以内でなるべく早いほうが良いです。)

硫酸塩泉

【カルシウムー硫酸塩泉】は、昔から【傷の湯】などと呼ばれ、切傷、やけど、皮膚病などに良いとされ、肌の蘇生効果が期待できます
【ナトリウムー硫酸塩泉】は、ナトリウム成分の保湿効果で肌を潤わせます

硫黄泉

メラニンを分解する作用が有るとされ、シミ抜き、シミ予防に良いとされます。
硫化水素型の硫黄泉は肌から浸透しやすく、浸透力は水の10倍、硫酸塩泉の100倍などとも言われ、二酸化炭素泉と同様に、毛細血管を拡張し血流を良くしてくれるのです。

アルカリ性単純温泉

液性pH7.5以上のアルカリの性質で肌の角質を分解して落としてくれます。

美肌の湯の注意する点

クレンジング効果が高い美肌の湯ほど、効果は高いのですがお風呂から出た後に乾燥しやすいので注意が必要です。

【ナトリウムー炭酸水素塩泉】や【アルカリ性単純温泉】に入浴した後は速やかに(10分以内)保湿剤を塗りましょう

保湿剤の代わりに湯めぐりをして【塩化物泉】で仕上げるのもよいでしょう。

【落として・洗って・保湿する】リンスインシャンプーの様な温泉に入れば湯めぐりしなくても良いのです。代表的な泉質をあげてみましょう。

ナトリウムー炭酸水素塩・塩化物泉
ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉
ナトリウムー炭酸水素塩・硫酸塩泉
ナトリウムー硫酸塩・炭酸水素塩泉
ナトリウムー塩化物泉(アルカリ性)
ナトリウムー硫酸塩泉(アルカリ性)

美人の湯に入った後は、ナトリウム成分が多く含まれる塩化物泉で保湿ケアをするととても良いです。

泉質・成分別の美肌効果をまとめます

【アルカリ性単純温泉】
pH値7.5以上(弱アルカリ性単純温泉)、pH値8.5以上(アルカリ性単純温泉)の、pH値が高いほど肌の古い角質を分解してとる働きが強いです。あまり強くない弱アルカリ性程度が適度な刺激で美肌効果が期待できるようです。しかしお湯から出たら速やかに保湿剤を塗るなどする必要が有ります。

【ナトリウムー炭酸水素塩泉(重曹泉)】
重曹成分により皮膚の皮脂や汚れを落とすので、脂性の方に合います。こちらも速やかに保湿剤を塗るなどの必要が有ります。

【ナトリウムー硫酸塩泉(芒硝泉)】
皮膚の表面に被膜を作りしっとり感が期待できます。

【カルシウムー硫酸塩泉(石膏泉)】
肌の弾力を回復引き締め効果が有ります。

【硫黄泉】
特に、硫化水素型の硫黄泉は肌に浸透しやすく、水の10倍、硫酸塩泉の100倍とも言われ、毛細血管を拡張して血流を改善します。メラニンを分解し美白効果が期待できます。紫外線カット効果もあるようです。

【塩化物泉】
塩の成分が皮膚の表面を覆い保湿効果が期待できます。

【二酸化炭素泉】
炭酸ガスによる血管拡張効果が高く、血液の循環を良くして利尿作用が有り、むくみをとります

【メタけい酸】
角質膜形成を促進すると考えられます。100mg/g以上が美肌効果ありと考えられます。メタけい酸とカルシウムが結びつくと効果倍増です。

【メタほう酸】
メタホウ酸は洗浄作用が有り、にきびなどに効果が期待できます。10mg/kg以上が目安です。

【リチウム】
直接的な作用はないのですが、抗うつ作用が有るとされ、気持ちを明るくしてくれる効果が有ると考えられます。

【カルシウム・マグネシウム】
ミネラルウォーターの成分ですね。飲泉できればミネラルウォーターを飲むのと同じこととなります。ほとんどの温泉はミネラルウォーター「鉱水」に相当します。

私が訪ねた温泉で、美人の湯を探すと当てはまる温泉が有りました。

福島県会津地方に有る「八町・玉梨温泉」は、川の両岸に八町温泉 亀の湯」「玉梨温泉 共同浴場」の共同湯が建ち、町営の温泉保養施設せせらぎ荘は玉梨温泉と、ぬるゆの大黒湯の2種類の源泉が楽しめます。又、こちらの温泉は遊離二酸化炭素成分が多く含まれていて、「炭酸温泉」とも呼ばれています。

ぬるゆの大黒湯の泉質は「ナトリウムー炭酸水素塩塩化物硫酸塩泉(低張性中性温泉)」です。遊離二酸化炭素が809.6mgで、二酸化炭素泉の定義の1000mgへ届きませんが結構な量なのです。

(温泉ソムリエテキストを参考にしています)

温泉うんちく

Posted by norari