高友旅館 宿泊記
2022年1月 訪問
雪の降る1月。東鳴子温泉、高友旅館さんにプチ湯治という事で2泊お邪魔しました、今回は自炊での宿泊です。

往時はかなりの宿泊客が訪れていた宿なのでしょう。しかし現在は使用されていない部屋も多く、寂れた雰囲気が漂います。まあ、それもまたひなびた宿が好きな方には愛される所以でしょうか。
それから、掃除が行き届いていないなどの口コミが多数あるようですが、各地のマニアックな温泉宿へ伺うと、すべてではありませんが、「温泉の力と宿の奇麗さは反比例」する傾向がありますね。宿に清潔で快適なサービスを求める方は、興味本位での利用はこちらの様な宿への宿泊はくれぐれも控えるようお勧めいたします。

今回宿泊したのは、「52年館」と呼ばれる自炊棟で、洗面と小さなキッチンが付いていて、トイレは共同です。キッチンは狭いですが、何とか自炊するのには問題はありません。ちなみに、この自炊棟の中に貸切湯の「もみじ風呂」があります。
部屋へ落ち着いたら早速、温泉に入りましょう。こちらの高友旅館は、「油臭マニア」の間ではとにかく有名な宿なのです。

先ずは、皆さんご存じの「黒湯」でしょう。「混浴」です。女性には黒湯の奥に女性専用の浴室がありますが、黒湯とは泉質が違います。黒湯の浴室の奥にある「プール風呂」と同じ泉質です。尚、宿泊客は夜の時間帯に男女が入れ替わりますので混浴に慣れていない女性も安心して利用できます。

先ずは、その匂いにヤラレテしまいます。単なるヂーゼル油の様な匂いだけではなく、タイヤのゴムの様な匂い。その得も言われぬ「香り」に虜になる人が多いのも頷けます。 色は深緑色で透明感があります。香り、味、すべてが独特です。

面白いのは、黒湯の浴室の奥にある「プール風呂」。同じ敷地から湧出している源泉なのですが、黒湯ほど癖がなく、色も透明に近くて、いつまでも入っていられるお湯です。しかし成分は濃いようで、手すりについた猿の腰掛状の湧出物を見るとわかります。
成分分析表を拝見すると、黒湯の泉質は、含硫黄ーナトリウムー炭酸水素塩泉とのことです。このお湯は「悪いところを全て出すお湯」と言う事で、湯あたりになりやすいほど成分が濃いようです。事実、湯あたりになった温泉マニアの話も多く聞きます。

「ラムネ風呂」は女性専用で、夜の時間に黒湯と入れ替わる形で男性の時間となります。ラムネと名が付くように、泡がすごいのかと思いきや、入ってすぐに泡の感じはないのですが、数分すると体中に泡がつきはじめます。やはりこちらのお湯もほのかに油臭あり。

となりの浴室の、「ひょうたん風呂」はラムネ風呂と源泉は一緒なのですが、ラムネ風呂の方が泡の付き方が多いようで、多分源泉からの距離の違いなのではないかと思われます。ラムネ風呂、ひょうたん風呂ともに泉質は、ナトリウムー炭酸水素塩泉とのことです。

「紅葉風呂」は貸切の家族風呂で、空いていれば鍵をかけて利用します。泉質は、含硫黄ーナトリウムー炭酸水素塩泉とのことで、不思議なのは黒湯と同じ泉質名なのですが、全く別のお湯です。
私はこのお湯がとても気に入りました。朝などは超熱いので仕方なく加水しなくてはなりませんが、とにかく湯の花が見事です。まるで卵スープの中に浸かるかの様な豪華な湯の花が咲きます。やはりこちらも油臭あり。
湯治の楽しみは温泉+食事でしょうね。今回はミニキッチン付きの部屋ですので、好きな時間に自炊して食事ができるので気楽なものです。


初日の晩のメニューは、まったくもって温泉らしくない、チーズフォンデュを作りました。実は前の晩、自宅で食べようかと思っていたのを持ち込んだので、ちょっと無理やりだったのですが結構おいしくてよかったんだけど、その後の洗い物が大変!!。自宅であれば食器洗い乾燥機が有るので簡単なのですが、大変な思いをして洗いました。

2日目も温泉三昧。朝食は昨夜のチーズフォンデュで残ったフランスパンを使ったサンドイッチを作ります。

ただひたすらゴロゴロしながら本を読んだり、気が向けば温泉に入ります。しかしこちらの高友旅館のお湯はとても強いので、あまり入りすぎは湯あたりしますので注意です。日中は、宿の方に聞いて近くのドラックストアで食材を調達。お昼はラーメンを作りました。


時間は沢山あるので、付近をグーグルマップでさがしてみると、宿から歩いて行ける所に「氏家鯉店」という川魚料理のお店があるようです。2泊目の夕食に頂こうと思って、鯉の洗いを予約制ということなので電話予約をして買いに歩いて出かけました。(実はビールを飲んでいて車は運転できなかったのです)

私は川魚は問題ないのですが、結構くせが有るので苦手な方もいるかと思いますが、こちらの鯉の洗いは全く癖が無く、酢味噌でとてもおいしく頂きました。
氏家鯉店さんは残念ながら閉店してしまいました。

夕飯のメイン料理は、いつも自炊の定番おでんです。毎回おでんなのですが、まあおいしくて作りやすいのでいいでしょう。


2泊のプチ湯治の間は、ひたすらお風呂に入りゆっくりできました。本来ならばもっと長い湯治がよいのでしょうがなかなか難しいですね。 高友旅館さんの温泉は、お湯と真剣に向き合い入らせていただく心構えでないと、温泉に負けて湯あたりしてしまいます。ご注意ください。
旅の記録
訪問日 : 2022年 1月
スタイル : 2泊3日 素泊まり (自炊棟にて自炊)
経費 : 4545円/人 消費税・入湯税別 2人で訪問
泉質 : (黒湯) 含硫黄ーナトリウムー炭酸水素塩泉(低張性 中性 高温泉)
泉質 : (ひょうたん風呂) ナトリウムー炭酸水素塩泉(低張性 中性 高温泉)
泉質 : (紅葉風呂) 含硫黄ーナトリウムー炭酸水素塩泉(低張性 中性 高温泉)
所在 : 〒989-6811 宮城県大崎市鳴子温泉鷲ノ巣33−1 ℡0229-83-3170
特徴・湯使い : 油臭マニア垂涎の温泉です。すべてのお湯がユニークな温泉。もちろん源泉かけ流し。
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