四万温泉 御夢想の湯

2025年 11月 訪問

秋も進んだ11月。久しぶりに四万温泉へ向かいます。紅葉がだんだんと深まってきて温泉街の建物が見えてきた頃、虹が町を覆って見えました。なんかいいお湯に入れる予感がしますね。

今日訪問する温泉は四万温泉の最奥にある共同浴場「御夢想の湯」。四万温泉発祥のお湯と呼ばれている温泉です。

虹が掛かった幻想的な四万温泉の街。

ちょっと余談ですが、以前に碓氷峠の玉屋ドライブインを訪れた際、名物「峠の力餅」の包みに書かれていた戦国武将「碓井貞光」について調べたとき、四万温泉を発見した御仁であることがわかり、発見された御夢想の湯をいつかは訪ねたいと思っていました。

碓井貞光は平安時代中期の武将で、源頼光に仕え頼光四天王の一人と称されたそうです。彼らの軍勢が越後から上野国への道中、現在の日向見付近で野営した際、貞光が一心不乱に読経し夢うつつとなっていた夜半に何処ともなく童子が表れて、四万の病悩を治す霊泉の所在を教えたといわれています。これが四万温泉発見の由来となり、その源泉が御夢想の湯と名付けられた古湯であるそうな。又、この霊験を元に湯の傍らに堂を建てて薬師如来を安置したといわれています。

四万温泉を奥へ奥へと進んでいきます。もうすぐ四万川ダムというところを左に入ると一番奥に御夢想の湯はありました。

2006年築の立派な湯屋です。

訪問時は午前中であったのですが、何人かの観光客が散策していました。「四万温泉発祥の湯」と染め抜かれた暖簾をくぐり、早速お風呂をいただきに入りましょう。

温泉の由来が記されています。

中へ入ると脱衣所はちょっと狭いです。階段で下ったところに石の湯舟が鎮座しています。上から眺めてみると3人ぐらいで一杯でしょうか?まあ、そんなに大勢で入るお風呂ではありません。早速かけ湯をたっぷりかけて入りましょう。浴感はちょっと熱めのいいお湯ですね。無色澄明でちょっと独特の香りがします。最初その香りから塩素消毒されているのか?と思ったのですが後で温泉分析書を拝見すると源泉かけ流しなのでそのような源泉の香りなのですね。

脱衣所から下った所に湯舟があります。

成分分析書を拝見すると泉質は、「カルシウム・ナトリウムー硫酸塩温泉(低張性アルカリ性高温泉)」との事です。表の看板にも掲げてありましたが、旧泉質では石膏泉と呼ばれて古来より、傷の湯、脳卒中の湯と称されて戦国武将の傷を癒すのに重宝されたようです。

たっぷりとかけ流されています。

浴感では43度ほどでしょうか?ちょっと熱めのお湯に、出たり入ったりを繰り返して四万温泉発祥のお湯を堪能しました。このところ足の具合がよくなかったのですが、心もち軽くなったような気がします。いい湯ですね。

神棚の奥にお賽銭を入れられるようになっています。

こちらの共同湯ななんと無料で開放されています。しかし、脱衣所の前にあった神棚にお賽銭を寄付として入れるようにしましょう。私もわずかですが寄進しました。

鄙びた感じが四万温泉に溶け込んでいます。

御夢想の湯の前に茅葺の日向見薬師堂のお堂があります。現在のお堂は後に真田信之が再建したものですが、開基は貞光とされています。明治時代に国宝に指定されましたが、昭和の法律改定で国指定重要文化財になりました。

日向見薬師堂。

貞光が日向守であったことにより、この一帯を「日向見(ひなたみ)」と呼ぶようになったといわれます。

鄙びたいいお堂です。

四万温泉発祥の湯に浸かり、薬師如来様を拝んで旅と温泉行脚の無事を祈願して帰路につきました。

訪問日 : 2025年 11月

スタイル : 立ち寄り湯 寺社散策

経費 : 無料 (寄進は受け付けています)

泉質 : カルシウム・ナトリウムー硫酸塩温泉(低張性アルカリ性高温泉)

所在 : 〒377-0601 群馬県吾妻郡中之条町四万4372−1

特徴・湯使い : なんといっても四万温泉発祥の湯は素晴らしいです。痛かった足が心なしかよくなった気がします。源泉かけ流しです。